The Archies/アーチーズ

The Archies(2023)

アーチーズ

1960年代のインド。住民たちに愛される公園の取り壊し計画が持ち上がる中、アーチーと仲間たちは恋愛、友情、そしてリバーデイルの未来という難問に立ち向かう。

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個人的にずっと鑑賞を続けているアメリカのミステリードラマ"リバーデイル"の原作がなんとインド映画になっていました。高校生の青春を描いたハッピーエンドでインド版のハイスクールミュージカル的な感じなのでミュージカルが苦手でなければ気軽に見れる楽しい物語です。ヒーローものや特殊能力を持った主人公のSF映画なども楽しいけどたまには平凡な人間の日常を描いた物語も親近感が沸いていいかなと思い、ドラマを観ているということもあって今回初めてインド映画を鑑賞しました。

注意:ここからネタバレを含みます。

タイトルが"The Archies"なだけあってアーチーの周りで起こっている日常を描いた平和な物語です。ヴェロニカとベティ両方に好意を持っているという設定はアーチーの女たらしな面がしっかり表現されているなと思いました。アーチーの魅力があんまり表現されてなくてただのモテ男というイメージしか得られなかったのが残念ですが、結局ベティもヴェロニカも最後は友情を選んでいたのは賢いですね。

それにしてもベティがすごく素直な女の子で守ってあげたくなっちゃいます。演じている女優さんも目がぱっちりしていてちょっとアン・ハサウェイに似ているし可愛かったです。アーチーと2人でグリーンパークに自転車で向かうシーンは気になる幼馴染との青春という感じで定番ですが微笑ましかったです。

食欲旺盛なジャグヘッドはドラマより弱弱しいキャラクターな印象を受けました。手錠をかけられて美味しそうな料理を目の前に尋問されるっていうシーンは面白かったですね。他にもケビンやエセル、レジー、ムースなどお馴染みのキャラがたくさん登場してました。

リバーデイルという町の真ん中にグリーンパークという大きな広い公園があり、町のみんなの憩いの場なんですが、そこに高級ホテルを建てようとする悪者ハイラムが登場。市議会の議長と手を組んで自分の利益のためにやりたい放題なのでインド版でも悪者ビジネスマンという設定が残されていました。ハルの本屋などみんなの親の店が閉業の危機に晒されてヴェロニカが嫌われてしまう可哀そうなシーンとかも分かりやすく描かれてました。

そんなわけでグリーンパークを守るためにみんなが団結するというお話でした。それぞれがこのパークで思い出があり、簡単に無くせない歴史のある大切な場所だから戦う価値はあるとアーチーが運動を起こしていました。一時は親の反対する中でイギリスの大学に行こうとしてましたが、隣の芝生が青く見えただけ〜みたいな名言を残してリバーデイルに残ることにしたのは高校生にしては素晴らしい決断だと思います。

アーチーが政治には興味がないと発言した時に他の生徒たちが”全ては政治!”と声を大にして言っていたのが興味深かったです。ミュージカルで"Everything Is Politics"という曲が出てくること自体が何だか新鮮ですね。日本とは違ってインドは政治について積極的に会話をする文化があるんですかね。いいことだなと思います。1人の利益よりもみんなの幸せの方が大事だという反資本主義的なメッセージが込められているような気もしました。

1960年代のインドを舞台にしたミュージカル映画ということでドラマ版リバーデイルのようなクレイジーさはありませんが、主要キャラクターたちの性格等が原作に沿っていてリバーデイルとも通ずるところがありリバーデイルファンとしても楽しめました。リバーデイルでは日々様々な事件が起こり過ぎていてベティやアーチーにはもっと高校生活を楽しんでほしいと思いながら観ていたので、それがこの映画で叶ったような気分です。たまには平和な物語を観るのも心が洗われていいですよね。